環境問題が叫ばれるようになって久しく、同時にecology(エコロジー)やenvironment(エンバイロメント)という言葉も、すっかり日本でも世間一般的なものとして定着してきたように思います。
しかしこのエコロジーやエンバイロメントという言葉、なんだか我々の生活実態とは離れ、極めてファッション的なニュアンスで使われるケースが多いように感じられませんか?いや言葉自体の問題ではなく、言葉の使われ方に問題があるといった方が正確かもしれません。
たとえば「エコ・バック」
レジ袋使用量を削減して環境活動に貢献しようという大義名分はよくわかります。でもこのエコ・バックを使うことで満足してしまっている人を大勢見かけませんか?エコ・バックの中に入っている品物は、過剰なまでの包装が施された加工食品と、決して小さくはないエネルギーを投入しなければ再資源化できないペットボトル・・・。それでもエコ・バックを使っている人たちは「私ってエコ・バックを使って環境に優しい生活をしているんだ!」と自己満足・・・。実際には、エコ・バックを使うこと自体が目的化しているように見えて仕方がありません。
問題はこの2つの言葉だけではありません。この夏多くの事業所で採用された
「チームー6%。エアコンの設定温度は28度に!」
設定温度を28度にしたところ、OA機器類の廃熱で実際の室温は30度程度にまで上昇。その結果、事務作業能率が下がり、残業時間は大幅増。エアコンの稼働時間は必然的に長くなり、結果エネルギーの総使用量は殆ど変わらない。
最近の環境関連の言葉、フレーズって全般的にこんな感じです。
上滑りしているというか、本質を全く表現しきれていないというか。
換言しましょう。最近の環境関連のフレーズや報道から、「我々人間の生活も周囲を取り巻く”環境”の中に本質的に組み込まれている、だからこそ将来にわたって生活を維持・発展させていくためには、私たちは環境を守らなければならないんだ」という環境対応の本質を感じ取ることが出来ないんです、私。
一時期どこかで標語となっていた”Save the Earth”を聞いた時と同じ印象、「なんだか綺麗事を言ってない? “Save the Human Being”と表現した方が良いんじゃないの?」と瞬時に思った記憶が呼び起こされます。
逆に私が比較的好きな環境用語があります。それは諸外国では最近環境用語として特に使われる機会が増えている英単語“sustainability(サステナビリティ)”です。この言葉も、日本語では「環境」に置き換えられます。環境問題に関わる英文レポートをお読みになったことのある方であれば、文中で ECOLOGYと言う言葉はあまり使われず、sustainabilityが多用されていることにお気づきのことでしょう。
ちなみに近年耳にすることが多くなったLOHASという言葉、これは”Lifestyles of Health and Sustainability” の略語です。既にご存じの方が多いと思いますが一応。また
日本の大手企業でも、ごく一部ではありますが”環境報告書”という言葉の使用をやめて”サステナビリティ・レポート”という表題に置き換える会社も出てきました。
なぜ“sustainability”<>を使用するのでしょうか?
実際に英英辞典 (Oxford Dictionary of English) を引いてみると、
- ●Environment
- The surroundings or conditions in which a person, animal, or plant lives or operates.
- ●Ecology
- The political movement concerned with protection of the environment.
とされ、「人間や動植物等の周囲の状況」と「environmentの保護に関わる政治的な動き」をそれぞれ意味しています。
これに対し、
- ●Sustainable (sustainabilityの形容詞)
- Conserving an ecological balance by avoiding depletion of natural resources.
と書かれており、「天然資源の枯渇を避けてenvironmentバランスを守ること」を意味します。
多くの方は“sustainability”と聞くと「環境」のみならず「持続可能性」という訳語をイメージされると思います。
その通り、” Ecology”や” Environment”に比べて“sustainability”は人間にとって主観的な意味合いを持っており、「天然資源の枯渇を避けてenvironmentバランスを守り、人間自身が生活を持続していくこと」という意味を含んでいます。
齋藤崇人のコラムは毎週金曜日に掲載します。
次回は 9月26日(金)
「”環境”と”sustainability” その2」














